自転車は人々に健康をプレゼントする、生きがいをプレゼントする、友情をプレゼントする。

「自転車を使ってしまなみ海道ににぎわいをつくろうと考えています。会長のご意見をお伺いしたいのですが……」と中村愛媛県知事。

 

「にぎわいから入るのは間違っているよ。自転車は人々に健康をプレゼントする、生きがいをプレゼントする、友情をプレゼントする。ここに切り口はある。にぎわいは後から付いてくる」世界最大の自転車メーカー、ジャイアント・マニュファクチャリング本社にて、創業者の劉金標、別名キング・リュー(英語の愛称)。当時77歳の劉は「Green World on Wheels(自転車でグリーンな世界)」をテーマに掲げ、世界各地で長距離ツアーを計画していたが、中村愛媛県知事はトップセールスでその場でしまなみ海道へ誘い成功。

 

訪れたジャイアント会長(当時)は瀬戸内海の多島美に感嘆し、「ここは世界最高のサイクリングパラダイス」と繰り返し公言。

 

そのうちジャイアントの世界ネットワークにも「しまなみ海道はすごい!」という情報は流れ込んだ。

 

ジャイアントのグローバル会議が2012年に限って開催場所は台湾ではなく日本になった。同年11月末、ランドマークタワー型ホテル「今治国際ホテル」に各国の現地法人社長が続々と現れた。同ホテルは直営のジャイアン今治店と同じ今治市にあり、しまなみ海道への玄関口として利用できるからにほかならない。

 

その後、各国の現地法人社長は母国に戻り、事あるごとにしまなみ海道ツアーの思い出話に花を咲かせた。複数の関係者によれば、メディア業界に広い人脈を持つアメリ現地法人ジャイアントUSA」の社長が“宣伝役”として大活躍したという。

 

その後はメディア紹介が続き、外国人旅行者向けに日本の観光スポットを紹介する仏ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン。2013年2月発売の改訂第3版(フランス語版)にしまなみ海道が一つ星で登場した。

 

極め付きは米ニュース専門局のCNNだった。翌2014年6月に「世界で最も素晴らしいサイクリングルート」を7つ厳選し、この中にしまなみ海道を入れたのだ。世界的な影響力を誇るケーブルテレビ局によって報じられたことで、しまなみ海道は世界中のサイクリストの間で一躍有名になった。

 

その結果、国内外からしまなみ海道へやって来るサイクリストが大幅に増え、劉元会長が言った通りににぎわいがついてきた。

 

 

 

世界最大の自転車メーカー、ジャイアント・マニュファクチャリング創業者の劉金標、別名キング・リュー(英語の愛称)。

 

出典引用元→ https://president.jp/articles/-/61835